仮想通貨の種類2 ビットコインに次ぐ仮想通貨イーサリアム

イーサリアムとは

イーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額ナンバー2の仮想通貨です。

通貨単位はETHです。

ただ,ビットコインが決済用の仮想通貨であるのに対し,イーサリアムは分散型アプリケーション(DApps)のプラットフォームのために開発されました。

とはいえ,イーサリアムはプラットフォームであるとはいえ,ビットコインのような決済サービスの機能も備えています。

2013年に当時19歳のヴィタリック・ブテリン氏により「Ethereum white paper」が書かれたのが始りです。

2014年初頭にはギャビン・ウッド氏によりプログラムに落とし込むための仕様が発表され,同年6月にイーサリアムのブロックチェーン上で用いられる「イーサ」をビットコインと引き換えに販するクラウドセールが行われ,18億円相当をビットコインで調達しました。

その後2015年6月にイーサリアムの正式ベータ版「Frontier」がリリースされました。

イーサリアムの特徴 スマートコントラクト

イーサリアムの最大の特徴としてスマートコントラクト技術の利用があります。

スマートコントラクト機能とは契約の自動実行のことで,契約取引を人の手を介さずに,設定された条件が満たされた場合に自動的に実行されるための仕組みです。

このスマートコントラクトにより,契約条件,履行内容,将来発生するプロセスなどをブロックチェーン上に記録することが可能になると考えられています。

これによって,第三者を介さずにプログラムに則り自動的に契約を実行することでが可能です。

スマートコントラクトは契約条件の確認や執行までのプロセスをすべて自動的にインターネット上で行うことができます。

たとえば,ビットコインの場合ブロックチェーンに記載されるのは「AからBに対して1ビットコインを送金した」といった取引だけです。

これに対してイーサリアムのスマートコントラクトの場合,「1年後までに,○○○という条件が叶った場合には,CからDに対して1ビットコインを送金する」という契約をブロックチェーンに記載して,そのとおりに条件が揃った場合にこれを実行することが可能です。

契約情報はブロックチェーン上に保存されるため改ざんのリスクが低く,契約が履行される場合にも第三者を介することがないため,第三者が想定外の行為を行うことによるリスクを避け,費用も低廉化できるというメリットがあります。

イーサリアムのその他の特徴

発行上限がない

スマートコントラクト以外のイーサリアムの特徴として,ビットコインと異なり発行上限がないことが挙げられます。

仮想通貨の多くはその発行上限が決められています。

たとえば,ビットコインは2100万BTC,ビットコインキャッシュも同じく2100万BCH,ライトコインは8400万LTCといった具合です。

ビットコインのように発行上限を定めることには,その設計思想に「インフレは悪」という考え方があると思われます。

インフレは貨幣の供給量が増えすぎる状態であり,貨幣の交換対象となる商品に対して貨幣が相対的に価値を下げます。

これにより物価が上がるわけです。

ビットコインの開発者は,その発行量の上限を合計で2100万BTCと定め,また供給量が次第に減少するようにして,このようなインフレを避けようとしているのだと考えられます。

このように発行上限を設定することは,その仮想通貨に希少価値が生まれることになりますが,その作用として価格の高騰を招いたりします。

これに対して発行上限のないイーサリアムの場合には,ビットコインなどに比べて安定した価格を維持しやすいメリットがあります。

反面,ビットコイン等発行上限の仮想通貨に比べてインフレの懸念が存在することになります。

ブロック作成にかかる時間の短さ

イーサリアムにおけるブロック作成時間は約15秒です。

これに対してビットコインにおけるブロック作成時間は約10分ですので,イーサリアムの決済は非常にスピーディであるといえます。

このように素早いブロック作成時間を誇るイーサリアムですが,反面,イーサリアムではスマートコントラクト技術で各種の取引情報もブロックチェーンに記載することになりますので,それによって情報処理が遅くなる可能性もあります。

今後イーサリアムが普及することによって,スケーラビリティ問題が深刻化する場合に,こうした問題が起きる可能性があります。

イーサリアムクラシック

イーサリアムクラシックとは

イーサリアムクラシック(ETC)は,イーサリアムという仮想通貨からハードフォーク(分裂)によって誕生しました。

イーサリアムクラシックはイーサリアムとは別の仮想通貨ですが,両者の機能的な違いはほとんどありません。

イーサリアムクラシックもイーサリアムと同様,ブロックチェーン上に契約内容を記録し,期日になると自動で契約内容を実行するシステム(スマートコントラクト)を実装しています。

イーサリアムクラシック誕生の経緯 The DAO事件

「The DAO(ザ・ダオ)」とは,イーサリアム上で流通する仮想通貨「イーサ」を通じ手150億円以上相当の資金を集めたクラウドファンディング(事業投資ファンド)のことです。

The DAOは投資ファンドの仕組みを自律分散型組織で行うプロジェクトであり,これまで中央集権的な組織であった投資ファンドを,非中央集権的システムであるブロックチェーンで行うという画期的な試みでした。

これはクラウドファンディングで調達された世界最高額であり,このプロジェクトには世界中が注目していました。

当初は大きな期待とともに順調にシステムは機能し,多くの投資プロジェクトも提案されていました。

事件の起こる3週間前,アプリケーションの挙動に脆弱な部分があることが分っていたため,その部分の修正とバージョンアップを行うプロジェクトの提案も含まれていました。

しかしながら開発チームはすぐには修正しませんでした。

その結果,このプログラムの脆弱性をつかれてシステムは想定外の状態になり,約3分の1にあたる50億円近くの資産が制御不能に陥り,「The DAO」のシステムが完全に崩壊しました。

これが「The DAO事件」です。

この事件に対する対処法が検討され,その結果「The DAO」から流出した資産を取り戻すため「ハードフォーク」という方法が提案されました。

このハードフォークは,ハッキング事件の無かった形でブロックチェーンをつなげていくことにより,「現実に起こってしまった盗難事件」を消し去ろうとするものです。

これには当然反対もありました。

このように実際に完了した取引を(それがハッキングによるものであったとはいえ)後から取り消してしまうという運営の介入は,極めて中央集権的なものであり,イーサリアムのような仮想通貨においてはあってはならないことである考える達も多くいたのです。

結局2016年7月にハードフォークは完了し,イーサリアムではこのハッキングによる盗難はなかったこととしてブロックチェーンが生成されつながっていきます。

しかしこのハードフォーク(つまり,ハッキングのない取引過程)の後も,ハードフォーク前の旧版のイーサリアム(つまり,ハッキングによる盗難があったことを認めた上でブロックチェーンが作成されていく取引過程)を支持し続ける人達におり,実際にこの立場のイーサリアム値がついてしまう自体が起きました。

このハードフォーク前のイーサリアムがイーサリアムクラシックです。

このThe DAO事件は「非中央集権型」を掲げる仮装通貨そのもののあり方にまで一石を投じました。

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