ビットコインは何に使えるのか

現実にはまだまだ使える場所は少ない

ビットコインを筆頭とする仮想通貨については「通貨」という名前からして,お店での支払手段に使えると考えるのが自然です。

しかし,実際にはそのようになっていません。

あるビットコインの利用方法に関する研究調査では,流通するビットコインのうち実際に支払手段として利用されているのはせいぜい2%程度であるということです。

では,世にあるビットコインの大部分を誰がもっているのかというと,マイニング業者や投資目的でビットコインを溜め込んでいる人です。

つまり,ビットコインはマイニングによって世に現われますが,このビットコインを取得したマイナー(マイニング業者等マイニングをする人)が市場でビットコインを売却してお金に換えます。

そして,そのビットコインの売り先の大部分は,仮想通貨投資家であるということです。

投資家が,ビットコインの値上がりを予想し,値上がりによる利益を得るために入手するわけです。

このような実態は,ビットコインの仕組みからするとある程度しかたがない面があります。

多くの人が支払手段として利用するためには,なにより価格が安定していなければいけません。

しかし現状のビットコインは価格の乱高下が激しく,支払方法として使い難いのです。

また,ビットコインには発行上限の設定があり(最終的な発行上限は2100万BTC),将来供給量が減少していくことに伴い,その希少性から価値が上がることが予想されます。

つまり,持っていれば値段があがるのですから,それを支払の手段として利用して手放してしまうのはもったないと考えてしまうのです。

よって,投資家のようにビットコインを集めるものの,これを使用することがないという実態ができあがるのです。

仮想通貨の中でもっともメジャーなビットコインにしてこの有様ですので,他の仮想通貨の利用については推して知るべしです。

投機・投資対象としての仮想通貨

このように,ビットコインをはじめとする仮想通貨は,決済手段としてではなく投資・投機の対象として扱われています。

一般的には,2016年夏頃からビットコインに投資する人が徐々に増えていったと言われています。

この当時は1BTCあたり5万円程度でしたので,「新しいものを試してみよう」と軽い気持ちでビットコインを購入する人が現れました。

その後,このビットコインへの資金流入は次第にヒートアップし,仮想通貨に投資して大きな利益を得た人達が「億り人」などとしてテレビで報道されるに至り,2017年には暗号資産バブルが到来しています。

この時には,仮想通貨のテクノロジーに興味持っているわけではない一般の人達もビットコイン取引所に口座を開設しました。

仮想通貨の売買は,「いくらで売りたい」という人と「いくらで買いたい」という人がうまくマッチングすれば取引が成立する相対(あいたい)取引です。

仮想通貨の取引所は,買い手と売り手の取引を仲介するだけで,取引が成立する価格を決めるのは,あくまで売買のマーケットに参加している人達です。

仮想通貨の価格は変動していますから,下がった時に買って上がった時に売れば,その差額が利益になります。

これは他の投資・投機と同様ですが,仮想通貨の価格変動はとても大きく,運が良ければ短期間で大きな儲けを出すことが出来たため,「自分も一儲けしてやろう」と考える人達を呼び寄せたのです。

しかし,仮想通貨には現在ついている値段についてそれを正当化する根拠がなく,唯一の根拠は「その値段で欲しがる人がいるから」ということだけです。

仮想通貨では,欲しがる人がいる限り値段は上がり続けますし,欲しがる人がいなくなれば値段は一気に下落することになります。

そしてそこにいう「欲しがる人」も,どうして仮想通貨を欲しがるのかといえば,仮想通貨が値上がりすると予想しているからです。

つまり「自分が買った時以上の値段で,ビットコインを欲しがる人がいるだろうから」という予想で投資しているわけです。

そのため,値段の動きには,世の中人々の仮想通貨に対する思いがダイレクトに反映し,値動きはとても大きなものとなり,値動きのスピードもとても早いものとなります。

つまり,あっという間に大きな損失を被る危険も十分に存在するのです。

上部へスクロール