送金手段としての仮想通貨

仮想通貨を送金手段として使う

ビットコインをはじめとする仮想通貨のメリットとして挙げられることが多いのが送金手段として優れているという点です。

仮想通貨による送金のメリットは送金手数料が抑えられることがあり,特にこのメリットは海外送金の場合に顕著です。

従来の送金方法

円やドルによって送金を行う場合には,各銀行によって定められた手数料がかかります。

特に海外送金を銀行経由で行う場合には,顧客から送金指示を受けた国内銀行と,送金先の海外銀行が相互に口座を持っていればその口座を使って資金を振り替えるだけですが,そうでない場合には,それぞれの銀行と相互に口座を開いている別の銀行(この中継となる銀行をコルレス銀行(Correspondent Bank)といいます)に間に入って貰う必要があります。

たとえば,日本の銀行から米国の銀行に日本円を送金するとする場合,その日本の銀行と米国の銀行が相互に口座を持っていれば,その口座間のやりとりで完結します。

日本と取引が多い国の銀行(米国やEUなど)であれば,日本の銀行も送金先の銀行と口座を相互に持っている場合が多いでしょうから,その銀行とのやりとりだけですので,時間や手数料は比較的少額で済みます。

しかし,たとえば日本の銀行からタイの銀行に送金をする場合,その日本の銀行は送金先のタイの銀行とお互いに口座を持っていない場合があります。

このような場合には,最終的にはそのタイの銀行に送りますが,その前段階としてそのタイの銀行と取引のある銀行(たとえば,世界的な展開をしているニューヨークの銀行)に送金をする必要があり,そのニューヨークの銀行に送金するために,日本の銀行の中でもそのニューヨークの銀行の口座を持つ銀行にまずは送金する必要が出てきます。

このように,間に入る銀行(コルレス銀行)が増えれば増えるほどその各銀行で手数料がかかるため,送金手数料が大きなものとなります。

仮想通貨による送金

これに対して,ビットコインによる送金の場合には,日本のビットコイン取引所で日本円でビットコインを買い(ビットコインへの両替),そのビットコインを相手に送金して,ビットコインを受け取った相手が自分の国の取引所でビットコインから自国通貨に両替して送金を完了させることができます。

上記のとおり,円やドルなどの法定通貨による送金の場合には各銀行によって定められた送金手数料がかかりますが,仮想通貨の場合には,基本的に中央管理者のいないP2P(peer-to-peer)ネットワークによって送金されますので,銀行のような中央管理者に徴収される手数料がかかりません。

ブロックチェーンに送金の取引記録を行うマイナーに支払う手数料は必要ですが,その手数料は比較的少額で,しかもその手数料は国内・海外を問わず同じであるため,特に海外送金の場合にメリットがあるとされるのです。

送金するには,相手のビットコインアドレスを知る必要があります。

アドレスを知っている人であれば,誰でもその人にビットコインを送金することが可能です。

ちなみにこのアドレスは固有にものではありますが,このアドレスだけではそれが誰なのかは判別ができません。

ビットコインを送金するとしばらくは,相手のウォレットで「未承認」と表示されます。

その取引をビットコインのネットワーク全体で検証を行い,承認する作業があります。

約10分程度で承認が1回され,そのあと何度も承認がなされます。

この承認回数が増えれば増えるほど取引の安全性は確固たるものとなります。

この点,送金したら銀行などが処理を確認して即座に確定するのとは対照的です。

また,ビットコインのネットワークは常に稼働していますので,ビットコインによる送金の場合,銀行の営業時間のような縛りはなく,24時間365日ほぼリアルタイムで着金可能です。

仮想通貨による送金のデメリット

送金の場合のデメリットとなるのが,仮想通貨の場合には価格変動が激しいことです。

たとえば,1日に10%乱高下するようなことを考えれば,100万円分のビットコインを送金したのに,それを受け取った人が翌日に換金したら90万円にしかならなかったという事態が想定されます。

もちろん,価格変動によって得をする場合もあるでしょうし,仮想通貨を受領してから法定通貨への換金を素早くすることによってある程度のリスク回避は可能ですが,やはりこのような価格の不安定は送金方法としてのデメリットといえます。

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