取り扱い業務

金銭の請求 債権回収

不払の態様

売買契約をしたのに相手が約束を守ってくれない。お金を貸した相手が期日までに返済しない。仕事を頼まれてきちんと完成させたのに代金を支払ってくれない。

このような場合には,弁護士に金銭支払の請求や債権の回収を依頼することにより解決を図るべきです。
支払請求の方法にはいくつか種類がありますので,事案に最も適した方法を選択していく必要があります。

催告書の発送

相手方が約束したお金の支払をしない場合,内容証明郵便による催告を行うことが考えられます。
内容証明郵便とは,1.差し出した日の日付,2.差出人と受取人,3.差し出された郵便物の文書の内容を郵便局に証明してもらう郵便の方法です。
受取人に送達する文書(内容文書)の謄本2通が作成され,そのうち1通は差出人に交付され,もう1通は取扱郵便局において5年間保管されます。
このような特徴により,後々強固な証拠として活用することができます。
ただし,内容証明郵便自体はただの手紙ですので,それ自体に特別な法的な効力があるわけではありません。

民事調停

相手がお金を払ってくれない場合に,裁判所を通じて相手方と話合いをする手続をとることが考えられます。
この裁判所を利用した話合い手続が民事調停です。
調停においては,裁判所の調停委員が当事者の話を聞いてくれるため,当事者同士が裁判所外で話し合う場合と比べて紛争が解決しやすいと言えます。
しかし,調停はあくまで当事者間の話合いによって紛争を解決する手続です。
そのため,当事者間に一定の合意ができれば調停が成立することになりますし,合意ができない場合には調停不成立となり紛争は解決しないままです。
調停により紛争が解決しない場合には,民事訴訟により決着を着ける必要があります。

民事訴訟

相手がお金を払ってくれず,話合いによっても紛争が解決しない場合には,民事訴訟を提起して,自分の言い分を裁判所に訴えることになります。
民事訴訟を提起すると,裁判所は,相手方の言い分も聞いた上で,紛争に一定の解決をつけることになります。
裁判所は,法的に権利休載や紛争解決を行う機関ですので,民事訴訟を利用する場合には,自分の主張を法的に構成して提出する必要があります。
そのため,民事訴訟手続の利用には弁護士への依頼が望ましいといえます。

強制執行

勝訴判決を取得したにもかかわらず,相手方が判決の内容にしたがった支払をしてくれない場合,強制執行手続を行うことになります。
事前に相手方の資産が判明している場合には,強制執行手続による債権の回収が容易になります。
これに対して,相手方の財産(預金口座や担保の負担のない不動産など)が特に判明していない場合には,まずは相手の財産を見つけ出さねばなりませんので,強制執行は困難になります。
財産が把握できない場合や,そもそも相手方が財産を持っていない場合には,取得した勝訴判決が単なる紙切れと化してしまうことも少なくありません。
特に,相手方が逃走して所在不明となってしまうことが多いタイプの事件(詐欺的商法の事件)などの場合には,勝訴判決を得ても執行不能となる可能性が高いといえます。そのような事件の場合には事前に保全手続により相手方の財産を確保しておく必要があります。

不動産関係事件

不動産の売買

不動産の売買には多額の金銭が動きます。
一般の人にとって,住宅などの不動産を買うことは一生に一度といっても過言ではないくらい大きな問題です。
その反面,不動産売買に用いられる契約書や専門用語は理解し難いものも多く,不動産売買を成功させられるのかどうかには常に不安がつきまといます。
特に,こちらが不動産の素人で相手方がプロの不動産業者である場合など,双方の知識・経験の差は歴然で,「うまく丸め込まれてしまうのではないか」「おかしな物件を掴まされてしまうのではないか」という疑念はどうやっても拭えません。
専門知識を持つ弁護士がこのような売買をサポートすることにより,このような不安を一掃することが可能です。

地代・家賃滞納

住宅や店舗物件を借りるなど,不動産の賃貸借契約は,社会生活を営む上でもっとも身近にある貸し借りの契約であるといえるでしょう。
しかし,身近であるがゆえに紛争が多く生じていることも事実です。
不動産賃貸借契約では,当事者双方が多くのリスクを負っています。
貸主(大家)側は,払ってもらえるはずの賃料を払って貰えなかったり,物件の使い方が悪く建物や部屋を壊されてしまったり。
借主(居住者)側は,本来大家がしてくれずはずの修繕をしてくれなかったり,契約終了後返還されるはずの敷金が返還されなかったり。
このような紛争を生じた場合には,速やかに弁護士に依頼をして法的手続によって解決することが,被害を最小限に食い止めるコツといえます。

明渡請求

借主が長期間にわたって家賃や地代を支払わず,しかも,催促をしても支払う様子すらない場合,賃貸借契約を解除して借主には物件から退去してもらわねばなりません。
しかし,そのような悪質な借主の場合,大家からの明渡請求に簡単には応じてくれないこともあります。
そのような場合には,弁護士を代理人としてたてて借主と交渉したり,明渡訴訟を提起して判決によって強制的に明渡を実現する必要があります。

刑事弁護

逮捕

逮捕とは,容疑者(法律上正確には「被疑者(ひぎしゃ)」といいます)の身体を拘束し,その後引き続いて短期間その拘束を継続することをいいます。
テレビや映画でみるような容疑者に手錠をかけることも逮捕ですが,その後引き続いて警察署に連れていったり,そのまま警察署に一晩泊って貰うことも合わせて逮捕になります。
逮捕には,現行犯逮捕・通常逮捕・緊急逮捕の3種類があり,現行犯逮捕の場合には逮捕状無しで行うことができます。
通常逮捕と緊急逮捕の場合には,逮捕前(通常逮捕)または逮捕後(緊急逮捕)に逮捕状を容疑者に見せることが必要です。
逮捕によって警察署に連れて行かれた容疑者の場合,その周囲は全員が警察関係者です。
自分が無罪で犯罪に巻き込まれただけだったとしても,自分の無実を訴える味方は周りに居らず非常に心細く弱い立場にあります。
弁護士の仕事は,早期に逮捕された人と面会(接見)して,刑事手続について説明し,そのような手続の中で容疑者自身の権利を守る方法を伝えることから始まります。

保釈

容疑者が逮捕勾留された場合,その後検察官が事件を裁判にかける(これを「起訴」といいます)か,身柄を解放して外に出すかを決定します。
開放された場合には問題ありませんが,勾留されたまま起訴されてしまうと,裁判の期日が到来し判決が出されるまで警察署の留置場や拘置所で過ごすことになります。
起訴された容疑者(これを「被告人」といいます)の身柄を解放するための手続が保釈です。
保釈請求は起訴される前にはできませんが事件について起訴がなされた後は,速やかに保釈請求を行うことが肝要です。

刑事裁判

事件について起訴がなされると,裁判(公判)によって,事件が有罪なのか無罪なのか,有罪だとした場合にはどのような刑が科されるかが決まります。
日本における有罪率はとても高いのですが,それは,起訴をする検察官があらかじめ事件を選別し,「確実に有罪になる」ものだけを起訴しているという実情によります。
日本の司法システムでは,起訴をするかどうかを決めるのは検察官であり,その検察官も「これは有罪だと思うが,証拠的に厳しく無罪になってしまうかもしれにあ」と考えたものは起訴しないのです。
起訴された場合の有罪率は高いのですが,仮に被告人が事件を認めていて有罪が確実な場合であっても,被害者に弁償をしたり,被害者と示談をすることによって,刑を軽くできる場合があります(このような弁護を情状弁護といいます。

遺言 相続 遺産分割

遺言書の作成

遺言は,自分の死後に自分の財産をどのように引き継がせるのかを規定するものです。
遺言書を作成しておくことによって,自分の希望通りの相続を実現させることができます。
希望通りの実現とは,例えば「自分の子供達の中で,長男には非常に世話になったので,なるべく多く遺産を渡してあげたい」といったものです。
現在の法律では,お子さん達は,長男から末っ子まで皆等分の権利を持ちますので,誰かに多くを渡すためには遺言をする必要があるのです。
また遺言によって,財産をどうするかを明確に決めておくことにより,相続手続が円滑に進みますし,「誰がどの遺産を取るのか」といった相続人間のトラブルの防止にもなります。

遺産分割協議

故人が遺言書を作成していれば,その遺言書の内容に従って,誰にどのような遺産を渡すのかが決まります。
ただし,相続人の中には「最低限これだけは遺産がもらえる」と法律で規定されている方があります。
この最低限もらえる遺産を遺留分といいます。
故人が遺言を作成していなかった場合には,相続人全員で誰がどのように遺産を取得するのか話し合いによって決めることになります。
誰が相続人になるのかは法律(民法)で定められています。
まず,配偶者(夫が死亡した場合の妻,妻が死亡した場合の夫)は必ず相続人になります。
配偶者以外には,まず子供が相続人となり,子供がいない場合には親(親が既に死亡しているが,その親(故人の親の親)が存命の場合には親の親)が相続人に,子供も親もいない場合には兄弟姉妹が相続人となります。
ただ,子供が既に亡くなっている場合にも,子供の子供(故人からみると孫)がいる場合には,その孫が相続人となります。
このように相続人間で協議をして遺産の取得を決めるのですが,法律では「どのような相続人がどのくらいの遺産を取得するか」が決められていますので,協議がまとまらない場合には,法律の規定に従って遺産を分けることになります。
相続人間で遺産分割がまとまったら,その内容を遺産分割協議書にまとめて,後の紛争が生じないようにします。

投資関連事件 詐欺被害事件

投資詐欺被害

金融商品の購入など投資には価格変動がつきものですから,そのような変動により投資をした人が損をしたとしても,それは被害・損害とはいえないのが原則です。
投資の世界には「自己責任の原則」があり,たとえ投資の結果損が出たとしてもそれは投資した人の責任となるのです。
しかし,金融機関に購入を勧められた金融商品に関して示された資料に不正確な情報が書いてあったり,投資に関する十分な知識や経験がないのに,金融機関からリスクの高い商品を勧められて購入してしまい,それによって損失を被った場合は,それは被害であるといえます。
さらに悪質な場合には,業者が,そもそも損をさせようとして違法な勧誘をして投資を勧めてきたり,投資をした後業者が違法な行為を繰り返しその結果投資をした人が損失を被る場合もあります。
このような損失の場合には,業者の行為によって発生した損害ですから,業者に対する損害賠償が認められます。

ネットビジネス・情報商材被害

ネット上では,「誰でも簡単に儲かる」といった儲け話や成功談を展開し,その秘訣や成功法を商材や塾の形で販売する業者がいます。
これを購入すると,冊子やDVDなどの教材が送られてきたり,交付されたIDとパスワードで特別のサイトにアクセスして,そこに掲載された情報を読んだり動画を見たりすることができます。
しかし,そのような情報や塾の内容は,多くの場合支払った代金に見合うものではなく,無価値・無意味なものを高額で買わされたことになるのです。
また,このような情報商材や塾には「返金保証」を謳ったものもあり,「それなら安心」と思いつい申込んでしまうことがあります。
しかし,実際に返金を求めても,業者はあれこれ理由をつけて返金を拒むことがほとんどです。返金を求めて業者と交渉をしようとしても,業者がこちらからのメールや電話に応じない場合や,そもそも連絡先が不明だったり,会社が既に閉鎖されてしまっているケースもあります。

ビットコイン・仮想通貨詐欺

現在ビットコインを筆頭とする仮想通貨(暗号通貨)がホットな話題となっています。
短期間に何倍にも価値があがったため,投資対象としてとても魅力的に見えます。
「ビットコインに続け!」とばかりに,世界各地であらたな仮想通貨(暗号通貨)の開発・公開が行われています。
このようにビットコイン等仮想通貨には短期間で高騰してきた事実があるため、「あっという間に投資した価値が何倍にもなり、短期間に大儲けができる」という詐欺師の勧誘トークが行われやすいのです。
一般の人は,このような詐欺業者から価値高騰のグラフなどを見せられると信じてしまいがちです。
確かにそのグラフの内容自体は歴史的真実であり嘘ではありません。
しかしそれは「これまで高騰した」という事実を示しているに過ぎないのであって、「これからも高騰するか」どうかはわからないのです。
そういった事情を無視して「絶対に儲かります」といった投資勧誘をすることは「断定的判断の提供」として違法行為になり、損害賠償の対象となります。

債務整理 破産 再生

債務整理

消費者金融やクレジットカード会社からの借入が膨らんでしまい,契約通りの返済ができなくなってしまった場合,どうすればよいのでしょうか?
まず,弁護士に依頼をして弁護士を代理人として相手方(債権者)と交渉して,債務の減額や月々の支払額の減額の協議を行うことが考えられます。
法的手続を経ないため,まとめる内容に制限がなく柔軟な解決が可能ですが,反面,協議による解決なので,解決の実現には相手方債権者との合意が必用です。
弁護士が依頼を受けると,弁護士は速やかに各業者に受任通知を送ります。この通知を受けた業者は,依頼者に対して直接取立てをすることができなくなります。
貸金業者からの取立てを止めて安心して生活できる状態を取り戻すことができますので,債務の返済に行き詰まってしまった場合には,速やかに弁護士に依頼して可能な限り早く通知を出すのが得策といえます。

個人再生手続申立て

借金の一部を支払うことで残部の支払を免れる方法として個人再生手続があります。
個人再生手続には,「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2つの手続があります。
継続的な収入の見込みのある個人(小規模個人再生の場合),または,給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者でその額の変動の幅が小さいと認められる者(給与所得者等再生)で,住宅ローンを除く負債額が5000万円以下の人が利用できます。
そして基準債権の5分の1または100万円のどちらか多い方を3年間(最長5年間)で返済すればその余の残額は免除されます。ただし,債務総額が100万円未満のときはその債務総額,基準債権額が1500万円を超え3000万円までのときは300万円,基準債権が3000万円を超えるときはその10分の1を返済する必要があります。
個人再生手続においては,破産手続と違って住宅ローン特例という制度を利用する事で、手続期間中も住宅ローンだけは支払い続けることができます。そのため住宅ローン不払いによる抵当権の実行・競売を回避することができ,住んでいる家をそのまま所有し続けることができます。

自己破産手続申立て

複数の金融会社から多額の借入をするなどして債務額が膨れ上がってしまい,とても返済できなくなってしまった場合には自己破産を選択します。
自己破産によって裁判所から免責許可をもらい,全ての借金をゼロにすることができます。
破産する場合,債務者の財産は処分されてお金に換えられ,各債権者に配当されるのが原則です。
しかし,個人の破産者が全財産を失ってしまうと,破産手続をした後に生活ができなくなってしまいますので,一定の財産については手元に残すことができます。

親子・離婚等家事事件

協議離婚・裁判離婚

離婚には様々な方法がありますが,日本における離婚の大部分は協議離婚です。
協議離婚とは,夫婦の当事者が話し合いによって離婚することで,離婚に合意し離婚届を役所に提出して離婚をします。
どのような理由であっても,夫婦の双方が納得しているのであれば離婚が認められます。
夫婦の当事者の間で離婚について話し合いがまとまらない場合には,裁判所に持ち込んで離婚をすることになります。
裁判所で離婚をする方法としては,調停離婚と裁判離婚があります。
裁判離婚の場合には,法律によって「離婚できる場合」が定められており,どんな理由でも離婚できるというわけではありません。
離婚の裁判を起こす場合には,家庭裁判所で調停手続を経る必要があります。
調停とは裁判所において行う話し合いのようなもので,当事者の間に「調停委員」と呼ばれる裁判所の方が入って話し合いをします。
この調停でも離婚がまとまらない場合に初めて離婚の裁判を起こすことができるわけです。

親権

離婚する場合には,どちらが子供の親権を行使するかを決めなければなりません。
親権とは,法律的に言うならば,お子さんを監護・養育したり,財産を管理したり,お子さんに変わって契約をしたりする親の権利です。
協議によって離婚をする場合には,協議によって父母のどちらが親権者になるかを決めますが,たとえ離婚について双方が納得していても,どちらが親権者になるかが合意できなければ離婚ができないのです。
その場合には,結局裁判所に離婚の事件を持ち込んで解決をすることになります。
裁判によって離婚をする場合には,裁判所が父母のどちらを親権者にするかを定めることになります。